
脳神経外科
脳神経外科
脳神経外科は、脳を中心に、脊髄・末梢神経系などの神経系全般の疾患の中で主に外科的治療の対象となる疾患について診断と治療を行う診療科です。頭痛、めまい、しびれ、頭部外傷、てんかん、もの忘れ、認知症、脳梗塞、脳腫瘍などについて、検査と治療を行います。
頭痛は、画像検査等で異常所見がないのにも関わらず、頭痛を繰り返す慢性頭痛症(一次性頭痛)と脳腫瘍、クモ膜下出血、髄膜炎などの脳や頭部の病気などが原因で起こる頭痛(二次性頭痛)に分けられます。
めまいは、比較的多くの方が経験する症状です。短時間で治るめまいから、長期にわたり治療を要するめまいもあります。めまいの種類は大きく3つに分けられます。ぐるぐると目が回っている感じのめまい(回転性めまい)と、体がフワフワとしていて浮いている感じのめまい(浮動性めまい)と、立ち上がるとクラクラして、目の前が暗くなったり、気を失ったりするめまいに分けられます。それぞれは症状が異なり主な原因も異なります。
その原因は大きく3つに分類する事ができます。1つ目は耳の病気が原因のめまい(末梢性めまい)で2つ目が脳の病気が原因のめまい(中枢性めまい)で3つ目が循環障害や内科的要因からくるめまいです。
まずは、診察により患者さんのめまいがどういっためまいなのかを見極める必要があります。特に中枢性めまいであれば手遅れにならないように適切に診断を下し治療を早期に開始する必要があります。
水頭症は、脳内にある脳脊髄液が異常に溜まることによって、脳室が拡大する疾患です。脳脊髄液は、脳と脊髄を保護し、栄養を供給する役割を持っていますが、通常は産生と吸収のバランスが取れており、一定量が維持されています。しかし、何らかの原因でこのバランスが崩れると、脳室に過剰な脳脊髄液が溜まり、頭痛、視力障害、認知機能の低下、歩行障害、尿失禁などの症状が現れることがあります。
水頭症は、手術によって治療可能な疾患で、「治せる認知症」とも言われます。
手術後も継続的なフォローアップが必要な病気で、患者さまの状態を見ながら、問題があれば早期に発見し対処することが重要です。
大学病院や基幹病院で水頭症治療を受けられた患者さまのフォローアップも対応いたしますので、お気軽にご相談ください。
脳血管障害とは、脳の血管に障害が生じることで脳の機能が影響を受ける疾患です。
(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などが含まれます)
脳血管障害の原因としては、動脈硬化が多く、高血圧症、肥満、糖尿症、脂質異常症といった生活習慣病がそのリスクになります。また、脳血管の奇形などが原因となることもあります。日頃から生活習慣病の予防と早期治療が重要です。
脳梗塞の原因には、高血圧、糖尿病、脂質異常などの影響により、血管の内部が狭くなっているところに血の塊が詰まってしまう「血栓」と、血管内部に狭窄はなく、心臓などから飛んできた血の塊がすっぽりとはまって閉塞してしまう「塞栓」があります。
また、病態によってラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓の3つの病型に分けられています。ラクナ梗塞は脳血栓症で、細い血管の動脈硬化によるものです。太い血管の動脈硬化によるものはアテローム梗塞といいます。心原性脳塞栓症は、心臓内に生じた血栓などが血流にのって脳に到達し、脳動脈が詰まって起こります。3つの病型のなかでは最も急激に症状が現れ、重症であることが多いとされています。
代表的な症状には、麻痺、意識障害、言語障害、運動障害などがあります。
脳の中にある細かい血管が破れて出血している状態が脳出血です。高血圧の症状がある方に多く、高血圧で動脈硬化を進行させたことで血管が脆くなり、そこにさらに血流の圧力がかかることで血管が膨れ、やがて破れてしまうことで脳の内部に出血が起きてしまいます。主な症状としては、頭痛、めまい、吐き気や嘔吐、片方の手足の麻痺およびしびれ、しゃべりづらさ、歩きづらさなどがあります。診断では、頭部CTなどを用いて出血している場所は出血の量などを調べます。
治療については、命を失う危険のある場合は手術を行うこともありますが、多くの場合は薬物療法とリハビリになります。薬物治療では、降圧薬や出血で腫れた脳のむくみを取る薬を処方します。リハビリでは、しびれや麻痺などにより動かしづらくなった手足やしゃべりづらさを解消することを目的に行います。このほか、再発防止のために高血圧の治療も行います。
てんかんとは、脳の神経細胞の過剰な興奮により引き起こされる発作のことで、繰り返すことのある疾患です。乳幼児から高齢者までどの年齢でも発症し、誰もがかかる可能性のある決してめずらしくない病気です。
てんかん発作には様々な種類がありますが、大きく全般発作と焦点発作の二つに分けられ、意識障害の有無、発作状態、発作の対称性によってさらに細かく分類されます。
てんかんの診断には、問診、採血、脳波検査などにより治療方針を決定いたします。「どんな時に発作が起こるか」「どんな症状が現れたか」など、発作時の状況をできるだけ正確に知ることが診断の助けになります。
また、多くの場合、患者さん自身に発作の記憶や意識がないことも多いため、周囲の人から得られる情報も重要です。発作時の状況を詳しくメモをとっておく、発作が起きた時に周囲の方に録画してもらうなどは診断に有用な情報となりますので、受診の際はご一緒にご持参ください。
当院では、頭のケガでの擦り傷や切り傷に対して、洗浄や縫合処置を行っております。創部の状態によって、局所麻酔の要否を含め適切な処置の方法を判断いたします。傷口が治り抜糸等が可能となるまで1週間程度の期間が必要です。
また、頭部外傷後には稀に頭蓋内出血を起こすリスクがあり、ケガの程度により画像検査の要否についても判断しご説明いたします。
受傷後いつもと様子が違うと感じたり、ご不安なことがありましたら、お早めにご相談いただくことをお勧めいたします。
脳腫瘍は頭蓋骨の中にできる腫瘍の総称であり、良性・悪性含め様々な種類の腫瘍があります。大きく原発性脳腫瘍と転移性脳腫瘍に分類されます。原発性脳腫瘍は、脳細胞や脳を包む膜、脳神経などから発生した腫瘍で、主に神経膠腫(グリオーマ)、髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、中枢神経系原発悪性リンパ腫などが挙げられます。
転移性脳腫瘍は、肺がんや乳がん、大腸がんなど、他の臓器で発生したがんが血流によって脳に転移したものです。脳腫瘍が大きくなってくると、腫瘍の周りに脳浮腫という脳のむくみが生じ、脳の機能がこれらによって影響を受けるようになります。治療は脳腫瘍の性質や患者さん個々の状態に合わせて行われます。
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